ISO 11607-3認証取得により期待されること

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概要

ISO 11607シリーズは、最終滅菌された医療機器のパッケージングに関するコンセンサス規格として長年にわたり認められており、1997年に初めて発行されて以来、医療機器メーカー、滅菌パッケージ製造業者、医療システム、規制当局に多大な価値を提供してきました。この標準規格は2006年に改訂され、パッケージ設計とプロセス検証についてより明確で詳細な基準を定める2つの文書で構成されています。ISO 11607-1は、無菌遮断設計、材料、性能、安定性、および使用性に関するコンセンサスに基づく要件、ISO 11607-2には、プロセス検証と管理に関する要件が定められています。2025年現在、ISO 11607シリーズのさらなる拡充が進行中です。

背景

信頼性の高い無菌遮断システムの構築プロセスを検討する際、パッケージの密封は重要なプロセスです。適切なレベルの技術的厳密性を確保するには、ヒート・シーリング工程の検証中にしっかりとしたプロセス開発を行う必要があります。ISO 11607-2ではプロセス開発が求められており、プロセス開発の側面については、参考情報である付属書Aにガイダンスが記載されています。ISO TS 16775にも、プロセス開発に関する追加のガイダンスが記載されています。しかし、無菌遮断システムの形成というこの特定の(かつ重要な)部分を網羅したコンセンサス規格はありません。

さらに、製造業者が業務の移管や拡大、あるいはシーリング装置の廃棄、入れ替えを行うことはよくあります。1台または複数台の機械にわたる封印工程の同等性を文書化するためのコンセンサス手法は、業務の拡大や高度化の際に効率よくリソースを最適化するのに役立ちます。

この分野に新たに対応するため、ISO 11607-3の策定作業が行われています。

対象範囲

ISO 11607-3は、医療機器メーカーや滅菌パッケージメーカーなど、無菌遮断システムやヒート・シーリング工程の設計・開発に従事する製造業者を対象としています。コンセンサス・プロセス開発活動は、幅広い製造業務においてヒート・シーリング装置の開発と運用を行っているこの種の製造業者に価値をもたらします。さらに、ヒート・シーリング工程の同等性を実証するためのISO 11607-3のコンセンサスは、リソースを最適化し、過去のテストをより有効に活用したい企業に価値をもたらします。

ISO 11607-3はヒート・シーリングの開発とプロセスの同等性に関する厳格なコンセンサス規格の策定を目指していますが、いずれのトピックについても、科学的に認められる唯一のアプローチとなるわけではないと認識されています。この標準規格は、その恩恵を求める人々が利用できるものでありながら、完全に自主的な規格であり続けることを意図しています。

今後について

ISO 11607-3の策定は、3年間のISO標準規格開発プロセスに従って進められています。現在、委員会による文書の精査が行われています。この段階では、初期的な草案が作成され、参加各国の対応する委員会に投票用紙が配布されます。その後、対応委員会には、ISO作業部会に対して文書の内容に関するコメントを提出する機会が与えられます。ISO作業部会は、その後、寄せられたすべてのコメントに対応する必要があります。ISO 11607-3については、委員会草案の投票が完了し、コメントへの対応がなされている最中です。コメントへの対応が済めば、国際規格案(DIS)として今夏に承認され、2026年に標準規格として発行される予定です。

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