医療機器分類の変遷

共有:

米国の食品医薬品局(FDA)は、ジェラルド・フォード大統領が1938年の連邦食品・医薬品・化粧品法に対する医療機器修正法(MDAA)に署名した1976年に医療機器の規制を開始しました。これらの改正から、FDAは医療機器がMDAAに適合させるための規則案を作成しました。規則案の最終版が、21 CFR Parts 800-1299として公布されました。この連邦規則により、医療機器をエンドユーザーに対するリスクの度合いに基づいて分類するFDAのクラスI、II、IIIが始まりました。

各レベルの分類の基礎はそのまま維持されましたか、1976年の修正により、複雑な規制と立法の進化が始まりました。FDAが法律を遵守するために必要な規則を策定し、最終決定するまでには何年もかかりました。その間、FDAの分類委員会や公開会議が数多く開かれていたにもかかわらず、多くのデバイスが審査を経ずに市場に出ました。

iStock-1211291206

それまでの曲がりくねった道は、1990年の安全医療機器法(SMDA)によって方向転換されました。SMDAにより、FDAは、修正から最終規則までの数年間、見逃されていた医療機器を再検討し、分類することを義務付けられました。SMDAはまた、永久植込み型医療機器の市販後調査を改善し、FDAにリコールを命じる権限を与え、実質的同等性による分類を追求する機器(以前に承認された機器を改造した新しい機器)の510kプログラムを定義しました。SMDAにより膨大な量の遡及作業を義務付けられた結果、分類プログラム全体の進歩が鈍化しました。

医療機器の革新が加速しているにもかかわらず、実装が妨げられていることに直面し、1997年に食品医薬品局近代化法(FDAMA)が制定され、分類プロセスへの障害を軽減することを目的としていました。同法は、他の手段を使用して「実質的に同等でない」と見なされた新規医療機器のクラスIII自動判定を削減するDeNovoプログラムを創設しました。また、FDAMAは、FDAに、既存の性能基準のみに基づいて分類するのではなく、「負担が最も少ない」要件と「特別な管理」を使用して、適格なクラスIIIデバイスをクラスIIとして割り当てをし直す権限を付与しました。FDAに登録されている医療機器の総数が26,000台を超えている(うち13,000台は米国製)ことから、その負担の大きさがわかります。地域レベルと世界レベルの両方で業界と規制当局間の継続的な監視が業界にとって重要である理由は明らかです。

FDAの医療機器分類

業界の専門家にとってはおなじみの内容ですが、医療機器のリスク・レベルを分類する際の現在の立場は次のとおりです。

クラスI(低リスクから中リスク)。非侵襲的であり、生命を維持する(または延命する)ためには使用しません。聴診器、舌圧子、手動車椅子などがこれに該当します。医療機器市場のほぼ半分を占めるクラスIデバイスは、規制の対象となるものが最も少ないです。ほとんどのクラスIデバイスは、市販前通知および市販前の承認要件が免除されます。

クラスII(中リスクから高リスク)。これらの医療機器は侵襲的である場合や、溶解縫合糸、注射器、カテーテルなどの人体との持続的な直接接触を伴う場合があります。FDAの「一般管理」はクラスIIデバイスの承認には適切とは考えられていません。デバイスに万能の基準リストはありませんが、FDAのクラスII承認要件には、性能資格、特別なラベリング要件、市販後調査などが含まれる場合があります。多くのクラスIIデバイスでは、安全性と有効性を実証する510(k)市販前通知申請が必要です。とは言っても、FDAが510(k)免除の機器として挙げている、これより一般的なクラスII医療機器が数百あります。

クラスIII(高リスク)。クラスIIIに該当する医療機器の約10%にすぎません。FDAは、クラスIII医療機器を「生命を維持またはサポートし、病気や怪我の潜在的な不合理なリスクを覚悟の上で植込まれるもの」と定義しています。除細動器、人工内耳インプラント、高周波人工呼吸器などの複雑な技術革新は、クラスIIIデバイスの例です。

世界の医療機器分類

米国以外の規制管轄区域での医療機器の分類方法は、類似点はあるものの、現在は独立して運用されており、地域ごとに異なります。FDAのクラスI、クラスII、クラスIIIという区分は中国のクラスI、II、IIIという区分と名前は同じですが、その分類基準は異なります。カナダにはクラスIVがあります。ヨーロッパは医療機器をクラスI、IIa、IIb、IIIという別の方法で分類しており、インドではクラスA、B、C、Dという区分を使用しています。これは規制上の分類の例にすぎず、その他に各メーカーが認識しなければならない多数の独自の定義と要件まで掘り下げたわけではありません。

この先にあるもの

未来を予測するのは困難です。それでも、正確な予測因子として使用できる明確なマーカーがあります。「スマートデバイス」や小型デバイスの急速な開発は、分類の見直しにつながる可能性のある医療機器の技術革新の一例です。もう1つは、世界的な調和への取り組みです。すでに、異なる規制機関の間の標準化が進んでいます。医療機器の分類の標準化は起きるでしょうか?2019年に世界保健機関が「医療機器の国際分類(ICMD)」プロジェクトの創設を発表しました。このイニシアチブは、業界と規制当局に対し、世界的な医療機器の分類と命名法の調和への取り組みを優先するよう求めました。この先には常に新たなチャンスが待っています。そして私たちは、人類の健康の向上のために、それぞれのコンセプトを最大限に活用するために、私たちの専門知識とビジョンを集約して活用していきます。

共有:
コメント(0)
当社をフォローする: