二酸化炭素排出量の削減と材料のリサイクル可能性の向上を求める声が日に日に高まるなか、医療技術メーカーはより少ないリソースでより多くのことを成し遂げる新たな方法を模索しています。医療パッケージング業界では長年、プラスチック製フィルムが重要な役割を果たしてきましたが、現在ではさらに薄いフィルムが求められており、コストの削減を図りながら性能を向上させ持続可能性に対処する、新たなタイプのフィルムを求める動きが強まっています。新しいタイプのフィルムは、医療パッケージングに求められる品質と完全性を維持しながら、業界ニーズのトレンドにも応えなければなりません。
摩耗破壊
ASTM F3300試験法は、軟質フィルムとパッケージング材料の耐摩耗性を測定します。また、ここではフィルムの厚みも大きく関係します。この試験では、重りを付けたスタイラスが試験対象材料を完全に摩損させるまでに必要なサイクル数を測定します。ピンホールの破断部分とその周辺を顕微鏡で分析すると、根本原因を特定することができます。摩耗は輸送中の医療パッケージングの完全性に重大なリスクをもたらすため、耐摩耗性の最も高い材料を特定する際に特に重要になります。ASTM F3300は、パッケージング検証の輸送環境のシミュレーションにおいて、一次パッケージング材料が棚カートンの内側やバルク・パッケージの段ボール箱の内側に当たって摩耗する様子を模しています。パッケージング検証は「後回し」にしがちです。環境への配慮から変化を求める声が高まっており、ASTM F3300のような試験を組み込むことで、既存のフィルムと今後開発されるグレードがどちらも医療パッケージングの規制要件を常に満たしているという安心感をもたらします。
適切なフィルムを選ぶ
医療機器のパッケージングに使用されるフィルム・ラミネーションの大半には、土台となる外層にポリエステル(PET)または二軸延伸ナイロン(BON)が使われています。これらの外層が、摩耗破壊に対する構造物の耐性と、言及されているその他の主な物理特性の大部分を担います。実験的な添加剤やフィルム組成が新たに登場することで、私たちが普段行っている試験方法が本当の意味で試験の場になるかもしれません。
摩耗試験を活用する
耐摩耗性は、特定の用途にどのフィルム・ラミネーションを使用するかを判断する際に考慮すべきいくつかの主な性能特性の1つに過ぎません。自社の用途において破壊の最大のリスクがどこにあるかを理解することで、パッケージング検証時の破壊に耐えるのに最適なフィルム・ラミネーションを選ぶことができます。
フィルムの限界と摩耗特性に取り組み、これらを観察しながら、「起こり得る事態」に対する答えに常に目を光らせておいてください。こうした答えが未来のハイテク・フィルムを開発する突破口となる知見の種となるかもしれません。