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進捗と落とし穴、パートII - 規制の進展に関する世界の見方

著者:Katie Scharff | 2023年7月6日 15:57:00

この記事のパート1では、米国、英国、欧州連合における医療・医薬品の規制や規制当局の歴史について取り上げました。パート1はこちらからお読みください。 

これに続くパート2では、アジアの重要な医療市場である、中国、日本、インドの3市場を見ていきます。

規制当局の対応

『黄帝内経』(こうていだいけい)と題されたこの一連の医学と健康の教えには、薬物、目的、有毒と無毒の分類などが記述されています。その後、『神農本草経』(紀元25~220年)などの文献が新たに編纂されました。神農は、下品(下薬)、中品(中薬)、上品(上薬)に分類される「365種の薬物」を伝えました。下品は毒性が強く、可能な限り低用量で緊急治療にのみ使用します(初期改善が見られたら、または改善しない場合はすぐに、交換します)。こうした書物には、詳しい配合や従うべきプロセスが記載されています。その古めかしい起源にもかかわらず、これらの記録は今日でも現代中国医学の基礎となっています。

最初の規制機関

1950年に中華人民共和国国家食品薬品監督管理局(CFDA)が設立され、このときから産業の近代化と規制の監視が始まりました。同局は中国国務院に報告し、食品、医薬品、医療機器、化粧品に関する規則と政策を定めています。

国務院がすべての医薬品を厳しく管理しているため、中国の規制の取り組みは複雑でした。1978年の改革により、規制当局と製薬業界はより開発指向に舵を切りました。それは進歩でしたが、品質と安全性の課題も生じました。中央集権による制約が続く中、中国は独立した規制構造を導入します。こうした動きにより、規制当局が品質と安全性を監視する気運がある程度高まりました。

最近の規制当局

2018年、CFDAは国家薬品監督管理局(NMPA)に改名されます。刷新された機関は、従来の責務を維持する一方で、NMPA標準規格で承認された海外の臨床試験データを利用する道を開きました。その他の変更点としては、医薬品と医療機器の市販前および市販後の承認活動の責任を定める審査承認プロセスが改訂されました。

パッケージングに関する規制

中国の医療分野は飛躍的な速度で成長を続けましたが、数十年にわたる変化の中で、中国の規制当局がパッケージングに管理の目を向けることはありませんでした。NMPAが独自の標準規格の準備を進める間、基準としては引き続き、世界的なISO規格とASTM規格が使用されました。2022年6月、中国薬局方委員会が新たな草案を発表します。この草案によって、46種の薬物のパッケージング標準規格が更新され、2022年9月1日までパブリック・コメントが募集されました。この標準規格は、中国薬局方2025年版で最終案が決定される予定です。

その他に最近のパッケージングに関する更新内容としては、中国市場向けに製造された医薬品に関する2つのNMPA医薬品トレーサビリティ標準規格が新たに追加されています。これらには、患者からの問い合わせに対して、国内のデータと海外のデータをどのように提示するかを規定した標準規格が含まれています。他のバーコードと区別するため、GS1/EMDC製品ID規格に加え、医薬品トレーサビリティ・コードを使用する必要があります。

日本

きっかけとなった出来事

日本で医薬品/製薬業界を示す最も古い記述は、1658年に大阪道修町の33名の「医薬品小売商」が作成した33通の連印帳とされています。彼らは今日の製薬会社の代表者であり、これらの文書が提出される前から商いを行っていたことになります。この文書は、「偽薬」の販売を防ぐための規制を求めたものでした。こうした訴えの連印自体が、その重要性を示しています。

規制当局の対応

この文書の直接的な結果は不明ですが、「偽薬」に関する正式な規制措置が記録に現れるまでに50年近くかかっています。

最初の規制機関

1722年、徳川幕府は「偽薬」が市場に出回るのを防ぐため、5つの都市に「和薬種改会所」と呼ばれる薬物品質検査機関を設置しました。これが最初の正式な規制機関です。第二次世界大戦後、日本では企業再建整備法(1946年)と薬事法(1948年)が制定されました。インフラが被害を受けていたため、新たな世界で企業が近代的な施設を復旧するには時間がかかりました。そのため、製薬業界のリーダーと政府当局が協力して1948年の薬事法を強化し、最終的には1960年に同法が制定されました。日本は1993年、医療機器規制当局と医療機器業界の結束を目指す国際的な医療機器規制国際整合化会合(GHTF)にパートナーとして参加しています。

最近の規制当局

現代日本の医薬品・医療機器規制は、厚生労働省(MHLW)が管理(および策定)しています。2004年の発足以来、政策の実施は医薬品医療機器総合機構(PMDA)が管理しています。PMDAは地方自治体レベルで活動する規制当局を任命します。PMDAの支部は規制機関として、いくつもの課題を乗り越えてきました。治験を「教訓」として活かすことで、プロセスを大幅に改善し、成功を収めてきました。PMDAはまた、自国の経験を共有し、他国の規制慣行を支援しています。長年にわたり改正を重ね、医薬品や医療機器の開発における品質、純度、患者の安全に対する日本のコミットメントを前進させてきました。

パッケージングに関する規制

日本の医薬品・医療機器パッケージング規制の直近の改正(2021年)の一つに、紙製のパッケージング添付文書と情報資源の廃止があります。改正法では、電子記録を閲覧可能にすることが義務付けられています。OTC医薬品と直販製品については、紙製の資料が引き続き要求されています。

2021年6月、ISOは「医薬品製造に必要なアイソレータ・システム」に対応した標準規格に関する日本の提案を受け、ガイダンスの更新を発表しました。その標準規格ISO 13408-6:2021は、医薬品と医療機器の両方についてアイソレータ・システム要件を定めたもので、特に従来の(加熱)滅菌法に適さない製品に焦点を当てています。この標準規格には、設計と検証、監視と管理、従業員のトレーニングも含まれています。

インド

きっかけとなった出来事

1857年、東インド会社の解散に伴い、イギリス政府がインドの統治を引き継ぎました。この移行と、たくさんの政府高官が入ってきたことで、さまざまな軍医を対象とした軍の一部門であるインド医療奉仕団(IMS)との話し合いが行われました。具体的には、病気や感染症による隊員の死亡率の高さ(1000人あたり69人)が指摘されました。不衛生な医療行為が厳しく監視されるようになり、医療の進歩と規制措置の素地が整えられました。

規制当局の対応

1863年には、英領インドの公衆衛生委員会が設立され、伝染病の脅威から国民を守るために積極的に活動しました。最大の課題の一つは、ハンセン病、マラリア、腺ペストなど、なじみのない風土病がインドに蔓延していたことでした。これに対して、英国はIMSを通じて衛生委員を任命しました。

権限は限られていましたが、これらの地域担当官は天然痘の予防接種を実施する責任を負っていました。さらに、地域住民の生命統計記録や医療/予防接種記録の作成と管理も担当しました。

最初の規制機関

それは半世紀以上にわたる困難な道のりであり、第一次世界大戦と第二次世界大戦を経て、1947年8月15日のインド独立につながりました。インドの近代的な製薬・医療機器産業への扉は、表面上は、1940年に医薬品化粧品法が成立したことで開かれました。同法で定められた規則(およびその後の多くの改正)の中で、規制機関として中央医薬品標準管理機構(CDSCO)が設立されました。

 最近の規制当局

CDSCOは現在もインドの医薬品・医療機器承認プロセスを担う規制当局として存続しています。インド医薬品総局(DCGI)はCDSCO内にあり、多くの医薬品の認可を行っています。

インドの最新の医療機器業界規制は、2017年の医療機器規制(GSR 777(E) 10-2022改正)に詳しく規定されています。この規制は全面的に見直され、インドの1940年の医薬品化粧品法の最新版となっています。

1940年の法律制定でインドの医療製品産業が確立されて以来、大きな進歩を遂げてきましたが、インドの州や「地域」レベルで慣行を調和させるためには、まだ多くの課題が残されています。

パッケージングに関する規制

インドの医療製品産業の歴史は80年足らずです。世界の医薬品・医療機器市場の進化のスピードにインドが追随するのは容易なことではありません。医療機器や端末の無菌遮断パッケージングの標準規格が世界の業界のトップランナーにとって厳しいものであるなら、インドにはどれほどの困難が待ち受けているでしょうか。

インドの医薬品のパッケージング要件、またはより直接的にはラベル表示要件は、医薬品化粧品規則(D. & CR)1945の第96条、第97条に記載されています。医療機器メーカーのラベル表示要件は、同じくD & CRの第109A条に記載されています。

とは言え、CDSCOを通じて認可された医薬品または医療機器製品のいずれについても、パッケージング/ラベル表示のコンプライアンスの正式な監視について入手可能な情報はほとんどありません。

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